ドーナツ現象でどうなる?-福岡の人口増加がもたらす効果と課題
人口増加が続く福岡!人気の理由は?

2019年9月20日、総務省は住民基本台帳に基づく人口動向調査の結果を発表しました。
少子高齢化問題が続く日本に於いて、西日本エリアではどのような動きがあったのでしょうか。
調査結果が今後のビジネスシーンでどのような影響を与えるのかも踏まえながら解説していきたいと思います。
日本一の増加率を誇る福岡市
平成29年(人) | 平成30年(人) | 増減率(%) | |
---|---|---|---|
全国 | 127,907,086 | 127,707,259 | ▲0.16 |
東京都 | 13,530,053 | 13,637,346 | +0.79 |
福岡県 | 5,126,389 | 5,130,773 | +0.09 |
日本全国・東京・福岡の人口は、昨年度と比べて上記の通り変動しました。
少子高齢化が進む中、福岡県は昨年と比べて0.09%の人口増加となりましたが、東京都は0.79%と、都道府県単位の増加率では圧倒的に差があると言わざるを得ません。
次に、以下のデータを見ていきたいと思います。
平成29年(人) | 平成30年(人) | 増減率(%) | |
---|---|---|---|
市部 | 4,459,184 | 4,511,016 | +1.16 |
郡部 | 651,154 | 600,478 | ▲7.78 |
上記は、福岡県内のエリアを「市部」「郡部」に分類した際の人口数と増減率です。
ご覧の通り、郡部は人が減っている一方で、福岡市をはじめとした支部は1%以上の増加が見られます。
当該増減率は東京を抑えて第1位の数字であり、今後も福岡市の人口増加はますます加速していくことが予想されます。
なお、日本全体では1憶2477万6364人(2019年4月確定値)で前年比-43万3239人、東京・神奈川・千葉・埼玉の所謂「関東エリア」では8万人ほどの人口増加となりました。
市街地の“周り”に人が集中
総務省では定期的に人口の統計結果を発表しておりますが、各市区町村・都道府県でも独自調査の結果を発表しています。
福岡県庁が発表した平成30年度人口統計を見てみますと、博多駅周辺(中央区・博多区)よりもやや離れている「福岡市東区」「福岡市南区」に特に人が集まっていることが分かります。
平成31年度人口 | |
---|---|
東区 | 318,567人 |
博多区 | 243,420人 |
中央区 | 201,486人 |
南区 | 263,573人 |
城南区 | 132,545人 |
早良区 | 219,967人 |
これは中心市街地の人口が減り郊外へと人口が移動する「ドーナツ現象」と呼ばれるもので、待機児童が増える・市区町村の税収が減るといった問題があり、今後の課題となりそうです。
このほか、九州エリアでは福岡県を除く7県が人口減少と、九州内でも一極集中の動きが顕著に見られる結果となりました。
都市事業開発で魅力度アップ?
現在福岡県の人口は2019年9月1日現在5,109,800人(世帯数2,303,502)となっており、前述した通り、西日本1位の人口増加率を誇っています。
その増加を後押ししているのが「天神ビッグバン」と呼ばれる、福岡市の都市再開発計画です。

こちらは2024年を目標に各商業施設・オフィスビルの建て替えを邁進するプロジェクトで、観光地の魅力をよりアップさせること・人々の暮らしをより豊かにさせること等を目的としています。(以下は数値目標)
建て替えによる延床面積のアップ | 444,000㎡⇒757,000㎡(1.7倍) |
雇用者数の拡大 | 39,900人⇒97,100人(2.4倍) |
建設による投資効果 | 2,900億円 |
経済波及効果 | 8,500憶円 |
魅力あるビルにはインセンティブを付与
福岡市ではプロジェクト促進のため、デザイン性に優れた魅力ある建物に対して補助金(インセンティブ)を交付する取り組みを2016年より開始しています。
その名も『天神BBB(天神ビッグバンボーナス)』といい、都市景観の創出や高い質の建物を増やす効果が期待されています。
認定要件は以下の通りで、認定されると補助金交付の他、テナントの優先紹介・行政によるPR等の恩恵を受けることが可能です。
- 認定要件
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①低層部・公開空地も含めたデザイン性の高いビルであること
②周辺ビルとの連続性を意識した建物デザインであること
③まちに潤いを与える木陰や花といった緑化の推進が認められること
④ユニバーサルデザインへの配慮がなされていること
ビルの建て替えを予定しているのであれば、是非狙ってみてはいかがでしょうか。
人口増加で今後どうなる?

人口増加は、ビジネスシーンにも大きく影響します。
税収が増えれば増えるほど、行政はより補助金やインフレ整備といったビジネスを促進する事業にお金を使うことができますし、企業が集まればその分雇用の創出を生み出します。
ただし、裏を返せば人が市街部に集まることで、地方部に多い農業・林業・水産業・畜産業等の人手はどんどん足りなくなっていってしまうのも事実です。
「九州エリアで起業するなら福岡」というのは確かにセオリーではありますが、業種によっては福岡以外も視野に入れて検討する必要があるかもしれません。