銀行融資の依存リスクとは?~ファクタリングとの違いを比較

銀行融資は金銭消費貸借契約のため、貸借対照表上の負債が増加し、株主や取引先に対して悪い印象を与えてしまう恐れがあります。依存する事で起こり得るリスクやファクタリングとの違いについて解説していきます。

ファクタリングと銀行融資を徹底比較!

銀行を比較する中小企業社長

大阪府を始めとした大阪エリアや、福岡県を始めとした九州エリアでは、東京に匹敵するほどの多くの企業がひしめき合っておりますが、資金繰りの手段としては銀行融資による方法が未だに最も多くなっています。
銀行融資は非常に金利が安く多額の資金を一度に調達出来るため、上手く行けば安定的な経営が可能となりますが、その一方で大きなリスクも孕んでいるのです。
両者の違いを把握し、“現在の企業状況ではどちらが有効な資金調達手段なのか”を判断した上でいずれを選択するかを決定しましょう。

銀行融資は負債(借入)

キャッシュフローが悪化して苦しい経営者

銀行融資は、言わずもがなお金を借りる事(金銭消費貸借契約)によって現金預金を増やすという資金繰り方法です。
借りたお金ですので当然返さねばならず、借りている間は金利が発生し、完済まで払い続ける必要があります。
一方、ファクタリングは債権を譲渡する事により、その代金で現金預金を増加させるという資金調達であり、法的な構成としては「売買契約」に該当します。
借入で無いので金利は発生せず、代わりにファクタリング会社へ手数料を支払います。
相場は2社間ファクタリングで10%前後3社間ファクタリングで5%前後となっており、当然ですが、返済・弁済と言う概念はなく、“売って、買うだけ”の非常にシンプルな取引です。

審査の違い

まず、審査する先が全く異なり、銀行融資は、融資先(借りる側)の経営状況を判断します。
つまり、“きちんと回収出来るのか?”が重点的に審査され、具体的には、過去3~5期分の経済状況から「赤字続きでは無いか」「売上はどの程度見込めるのか」「融資を受ける事でどのくらい成長が望めるのか」等を調査します。
それに対し、ファクタリングでは「①債権の存在」「②債権の信頼性」の2点を重点的に調査します。

「①債権の存在」とは、実際に取引があったのか、売掛金があるのか、といった取引実体の確認を指し、相手方の企業とどのくらいの付き合いがあるのか等も併せて審査します。
「②債権の信頼性」は、その売掛金がどのくらいの確率で引き渡されるのかを表わしており、極端な例で言えば、倒産の恐れがほとんど無いと考えられる一部上場企業であれば信頼性が高く今にもつぶれそうな企業の売掛金であれば信頼性は低くなります。
つまり、銀行は利用企業の信頼性、ファクタリングは売掛先の信頼性を確認しており、後者では利用者の赤字は関係ないという結論になります。

銀行の保証は「連帯債務」

連帯保証契約書と実印

銀行融資の際に、ほぼ必要となる「保証人」ですが、こちらは普通の保証契約では無く、より重い「連帯保証契約」となります。
一言で申し上げますと、連帯保証人は「借主と同等の立場」となり、会社が万が一債務不履行や倒産に陥ると、連帯保証人個人の資産への差し押さえや、抵当権が設定されている場合はそれらの実行等の恐れがあるのです。
連帯保証人となる場合には十分にリスクを理解した上で引き受ける事が望まれますが、第三者で引き受けてくれる方はまず居りません。
一方、ファクタリングは売買契約に該当するため、未回収リスクというものが無く、物的担保(不動産)や人的保証(保証人)が不要であるというメリットがあります。

銀行による貸し剥がしリスク

銀行融資に縛られる経営者

銀行は、融資先企業の業績が不安定になると、貸し渋りはおろか、「貸し剥がし」を行う事もあり銀行へ依存し過ぎると大きなリスクとなり得ます。
また、業績が著しく悪化したわけでなくとも、日銀の金融政策(金融引き締め等)によって上記が顕著に行われる可能性があり、依存し過ぎるのは危険であると考えます。

最近ではファクタリングに対応する銀行も

昨今のファクタリング人気から、ファクタリングを取り扱う銀行も増えており、西日本エリアだと、りそなグループの近畿大阪銀行等が挙げられます。

近畿大阪銀行公式ページ
http://www.resona-ks.co.jp/factoring/factoring.html

しかし、銀行系のファクタリングは融資と同様、審査に時間が掛かるため、メリットの1つである「スピード」を殺してしまう事になります。
また、銀行だから安全又は手数料が安いという事も無く、寧ろファクタリングを行う上で選ぶべき特段の理由は無いと考えます。
“資金調達=1日でも早く行う必要がある”という点を鑑みると、必要書類さえ揃えばその日の内に審査及び買取代金の引き渡しが可能地域密着型のファクタリング会社を利用する方が望ましいでしょう。

メリット・デメリットまとめ

まとめますと、ファクタリングと銀行融資には以下の通り違いがあります。

銀行融資 ファクタリング
法的性質 金銭消費貸借契約 売買契約
審査 業績を審査 債権の存在を調査
コスト 金利
税理士に支払う報酬
手数料
(債権によって異なりますが、2社間で5%前後・3社間で10%前後が相場)
期間 2週間〜1ヶ月 即日〜3日
地域性 特になし 近場の場合は直接現金の授受が可能なため、即日受取も可能というメリットがある。

両者の違いをしっかりと把握し、現在の状況に応じて使い分ける事が、会社の安定した長期運営に繋がります。