良い事ばかりでは無い?ファクタリングで気を付けるべきポイントとは

即日現金化・赤字OK・高額資金調達にも対応可能とメリットばかりが目立つファクタリングですが、一定のリスクやデメリットも孕んでいます。予め自社やファクタリング会社が負うリスクについて知っておきましょう。

ファクタリングの注意点とリスク

手数料が安い
赤字や税金滞納があってもOK
審査が緩く、即日決済が可能
西日本エリア内はファクタリング会社が豊富

と、良い事尽くめのファクタリングですが、残念ながらデメリットやリスクも存在しています。
他の資金調達方法よりもデメリットは少ないと言えますが、これらをしっかりと把握しておく事で、より損をせずに資金繰りを行う事が可能となりますので、利用前に必ず一読する事をお奨め致します。

売却するタイミングを間違えると損

入金時期を示すカレンダー

債権を早期に売却する事で資金を得るファクタリングですが、当然、額面通りの金額で買い取って貰えるわけではありません。
数日~1週間程度で入金されるのであれば、ファクタリング会社に支払う手数料や手間等を鑑みると、言うまでもありませんが待てるならば売却せずに入金を待った方が良いです。
しがたって、複数の売掛債権があれば、期限が先のものを現金化してしまい、入金間近の債権については出来るだけ売らない方が損をしないでしょう。

資金難が知られてしまう恐れ

相手先との信頼関係を失うと以降の取引上致命的

債権譲渡をすると、債務者は一体誰に支払いを行うべきなのか分からなくなってしまいます。
そのため、債権を売却又は贈与若しくは交換等により債権者が変わった際は、債務者に対しその旨の通知する又は承諾を得なければなりません。
これを一般的に「債権譲渡手続き」と呼び、債務者の保護を図っているのです。
しかし、債務者(売掛先)に債権が譲渡された事を通知するという事は、同時に取引先に資金難である事が周知されてしまう事を意味します。
したがって、場合によっては取引先からの信用を悪化させてしまう恐れがあります。

取引先に知られないファクタリング方法

原則、通知又は承諾が必要となる債権譲渡ですが、これをある制度を利用する事により省略する事が可能です。
その手続きとは、「債権譲渡登記」です。
つまり、取引先には譲渡の通知等を行わず、債権譲渡を行った旨を法務局に登記する事で、ファクタリング会社へ債権は移った事を証明しつつ、取引先に知られるのを防ぐ事が出来ます。
この場合、売掛金は売掛先利用企業ファクタリング会社という流れで支払われるので、売掛先(取引先)の会社はファクタリング会社が介入した事を知り得ません。
このファクタリング方法は2社間ファクタリングと呼ばれており、ほとんどのファクタリング会社で対応が可能な方式です。

ファクタリング会社側のリスク

リスク分析のイメージ

自社のリスクはもちろんですが、ファクタリング会社側のリスクについても知っておいて損はありません。
相手方のリスクを知る事で、どんな審査が行われるのか、どのような点に気を付ければスムーズに取引が出来るのか等を知る事が出来ます。

二重譲渡

二重譲渡は、債権譲渡取引の最も大きなリスクです。
文字通り、債権を有する会社が債権をファクタリング会社に売却すると同時に別の会社にも譲渡してしまうというもので、譲渡した会社は二重に売買代金を得る事になります。
明らかな詐称行為と言えますが、資金繰りに困った結果、このような愚行に走る会社は決して少なくはありません。
このようなケースで重要となるのが、後述する「対抗要件」です。
ファクタリング会社はこの対抗要件を具備する事で、権利を主張する第三者に対し、債権を有している事を主張出来るようになります。

対抗要件

民法第467条2項では、「通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。」としています。
つまり、債権譲渡を内容証明郵便又は公正証書といった「譲渡した日」が分かるもので行わなければ、債務者以外の第三者(債権を譲渡されたと主張する会社や人)に対し、自身が権利者である事を主張出来なくなってしまうのです。
例えば、二重譲渡をされてしまった場合、一方が確定日付無しの通知、もう一方が確定日付有りの場合は後者が対抗要件を具備しているため、後者の会社が正当な権利者である事を主張できるという事になります。
このように、通知や承諾は、契約を有効にするためのものでは無く、ファクタリング会社側の対抗要件を備えるために行われる手続きという結論になります。

2社間・3社間いずれを選ぶべきか

ファクタリング方法を選ぶ経営者

冒頭でも軽く触れましたが、いずれを選択すべきかは「取引先に知られても良いか否か」が大きな判断ポイントになります。
つまり、債権譲渡の対抗要件を登記により行うべきなのか、通知又は承諾で行うべきなのかという点です。
2社間ファクタリングは手数料が10~15%、3社間ファクタリングは手数料5~10%が相場となっているため、もしも取引先に知られても問題が無ければ、3社間ファクタリングを選択すべきと考えます。

なお、両者の手数料の違う点については、ファクタリング会社側が負うリスクの違いが反映されています。
直接ファクタリング会社に売掛金が支払われない2社間ファクタリングでは、よりリスクが高いため、手数料も高くなっています。
両者のメリットだけでなく、デメリットやリスク、自社の状況等もしっかりと理解した上でどちらを選択するかを決定しましょう。