和牛相場下落!コロナで打撃を受けた肥育農家に対し奨励金を交付

2019年末から2020年現在まで、未だ収束の見通しが立たない新型コロナウイルスの影響は甚大なものです。特に農業や畜産業といった“生産を調整できない”業界では、我々が想像する以上に大きな被害との戦いを見せています。

コロナウイルス畜産業に与えた影響

牛が餌を食べている様子

「牛乳を購入してください!」という文言が、酪農業の今を象徴する簡潔的で適切な一言という認識を受けるまで、多くの時間を必要としませんでした。
畜産業にも大きな打撃が与えられ、酪農、繁殖、牧畜など様々な畜産業界から悲痛の叫びが聞こえる状態です。
特に、九州を中心に活動を行う“肥育農家”も多大な損害を被る結果となりました。

救いの見込みが無い肥育業界の現状

牛がいなくなった牛舎

宮崎牛、佐賀牛、松阪牛など…日本には代表的なブランドをもつ和牛が何種類も見受けられ、その質の高さは世界各国から人気を集めるほどです。
しかし、日本人にとって憧れである高級和牛は、現在苦境に立たされている状態です。

2020年の2月時点の加工済み和牛における商品価格は、前年比で15%弱もの減少を見せています。
高級和牛は質の高さから海外まで波及しており、日本にとって非常に影響力の強い特産物と言えますが、コロナウイルスの影響によって海外への流通は大きく滞ってしまいました。

そして「国内消費」も同様に、海外から訪れる観光客によるインバウンドが減少したことを受け、消費が大きく落ち込んでしまった格好です。
多くの国で渡航制限が行われた結果、輸出はおろか外食産業としても売上が減少し、なすすべ無く事態の収束を待つという状態に追い詰められてしまいました。

日本人の家庭に高級和牛が並ばない

ここ数年で、日本人の食生活には牛肉が深く根付きだした傾向にあります。
しかし、その多くは牛丼や安価な輸入肉の消費に留まる形であり、決して高級な和牛の消費量が増加する流れにまでリーチしてはおりません。

和牛の販路の多くは海外への輸出に大きな期待がかかっている状態で、海外に注目されるということは、国内で絶望的な後継者不足問題への切り口にもなります。
コロナウイルスの影響により、見出された海外展開の希望の道も閉ざされる形となってしまっており、再びブラックボックスへと姿を消してしまったのです。

国・地方公共団体の援助

前述したように、コロナウイルスの影響は畜産業界全体に波及しています。
このような現状が続けば農林水産業の衰退が引き起こり、日本の生活水準を大きく揺るがす出来事になる事実は間違いありません。

政府は支援策として450億円を用意する見通しを立てると同時に、経営体制の強化への取り組みを前提とした「1頭あたり2万円を交付」「人材費の支援」「機材費用の助成」を行う予定です。
農林水産省のホームページには、コロナウイルスに伴う経済対策の概要が掲載されていますので、随時動向を確認しておきましょう。

私たちへの影響と取るべき対応

コロナの影響で在庫が余る精肉

肥育農家への打撃は大変深刻ですが、精肉や加工品を始め、冷凍食品やレトルト食品等の食料品の供給が不足するような事態には陥っておりません。
不安が広まる時勢ですが、肉や穀物を摂取することによるコロナウイルス感染は報告されてはおりません。

私たちにできることは、事態が収束した後も以前のような生活を失わないために、国産の農産物に対して適切な消費活動を行うことなのではないでしょうか。