広島エリア|メインビジネス・企業数の推移・資金調達方法まとめ

世界的に有名な文化史跡が今もなお残る広島市では、県全体の卸売業・総生産額のなんと7割を占めています。建設業の企業数は年々減少しており、ファクタリング・バランスオフといった方法による銀行依存からの脱却が急務となっています。

広島県の主な事業と企業数

広島原爆ドームの風景

平成28年の調査では、広島県を本拠に活動を行う企業数は89,996、その半数以上は広島市及び福山市に集中しているという結果になりました。
業種別にみると、建設業・製造業が18,320企業、卸売業・小売業が19,665企業、宿泊業・飲食業が11,490企業と、この3業種が広島県の企業の50%以上を占めています。

広島エリアの建設業

建設業の人材育成に力を入れる広島県

建設業関係の高校や専門学校が多い広島県では、技術者の育成・建設業の更なる推進のため、学生のための説明会や現場見学会を定期的に開催するほど、人材育成・教育に力を入れています。

中部地方、近畿地方の建設業界が伸び悩む中、建設業へ進む若者も未だに多く、今後も成長が期待されるビジネスと言えるでしょう。
大手建設業者ですと「ツネイシホールディングス」「中電工」「広島ガス」等が有名ですね。

広島県の大手建設業者

観光エリアでは卸売業・小売業が盛ん

厳島神社や原爆ドームといった世界的に有名な文化史跡から、MAZDAスタジアムといったレジャーまで、多くの観光スポットが立ち並ぶ広島では、卸売業・小売業を行う企業が多くなっています。卸売業の売上の内、広島市が7割を占めており、広島エリアのビジネスを担う地域とは言え、小売業も全体の企業数の3割が同エリアに集中しています。

宿泊業・飲食業は

飲食業は広島経済の中核

中国・四国地方一の繁華街である八丁堀(広島市)は、日本国内のみならず海外から訪れる観光客も多く、ホテル・旅館と言った宿泊施設や瀬戸内海で取れた魚介類やお好み焼きを振る舞う飲食店が溢れています。
観光地として世界的に有名なエリアである事で、宿泊業・飲食業は広島経済の中核を担っているビジネスと言っても過言ではありません。

広島エリアの銀行・信用組合

広島県では地域密着型の地方銀行・信用組合・信用金庫等が数多く存在しています。
銀行では広島銀行もみじ銀行、信用組合では広島県信用組合広島市信用金庫、信用金庫では呉信用金庫広島信用金庫となっており、東京・大阪・福岡に決して引けを取らない規模です。

銀行融資の説明を受ける男性経営者

銀行融資が一般的な資金調達

日本でも屈指の銀行・信用組合数を誇っている広島県では、やはり、企業のほとんどが資金調達方法として「銀行融資」を選択しています。
非常に多くの銀行があるにも拘らず、経営破綻を起こした事が無いと言う信頼性も相まって、広島県だけでなく近県からも融資審査を申し込む企業もいらっしゃいます。
広島では数十年以上も経営を続けている老舗会社が多数存在し、「昔から利用しているから…」という理由で使い続けている企業が多いのも特徴的です。

銀行依存からの脱却

そんな中、銀行融資依存を脱却しようとする動きが強くなっています。
長期借入金である銀行融資は、固定負債に算入できる負債であるため、流動資産比率が上がり、より安定的な経営が出来るというメリットがあります。
しかしながら、一度不況が訪れたり、金融引き締めといった政策が行われたりしてしまうと、途端に手のひらを反すのが銀行のやり方です。
そのため、企業の一部では借金を徐々に減らしていくという経営方針へシフトしており、資金難の際は新たな借り入れをせず、固定資産や設備・債権(ファクタリング)等といった資産を売却しキャッシュフローを改善するという動きが強まっています。

建設業ではファクタリングが一般化

建設業で広まる資金調達「ファクタリング」

前述した“ファクタリング”ですが、特に「建設業」に於いて多く用いられる資金調達方法となっています。
理由としては、工事の請負又は役務の提供による対価は、完成又は完了後数か月後に入金というケースが多く、次の工事を始めるための資金が不足してしまうという事態に陥りやすい為です。
また、下請けに工事を受注する際に、まとまった金額を前払いしなければならない事が多く、つなぎとしての事業資金が不足しやすいという性質があります。
ファクタリングは数か月後に入金される事業資金を数%の手数料で現金化する金融取引であるため、建設業の資金繰りとして非常にマッチするのです。
銀行融資から脱却し、まずはファクタリングでキャッシュフロー改善を目指してみてはいかがでしょうか。

広島県への外国人観光客が増加している

厳島神社の大鳥居

平成30年に広島県へ訪れた外国人観光客数は275万3千人となっており、7年連続で記録を更新しているという調査結果が発表されました。

参考平成30年 広島県観光客数の動向
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/78/30doukou.html

国籍別の観光客数をみてみると、

1位 アメリカ 371,000人
2位 台湾 258,000人
3位 オーストラリア 209,000人

次いで中国、フランス、イギリスという順位になっています。

また、世界的に有名な旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」の“外国人に人気の日本の観光スポット ランキング 2019”においては、2位に広島平和記念資料館、3位に宮島がランクインしています。
今、なぜこんなにも広島県が外国人観光客から人気を集めているのかを掘り下げていきます。

広島県が外国人観光客に人気な理由

まず考えられるのが、広島には、原爆ドームや平和記念資料館という歴史的背景を知れる世界的にも貴重な施設や、宮島や厳島神社、しまなみ海道など観光資源が豊富にある点です。
次に、2016年の5月にオバマ前アメリカ大統領の広島訪問も影響していると考えられます。
「核兵器のない世界」への決意を訴えるスピーチが話題となり、この翌年の広島への観光客が急増しているという結果も出ています。
しかし、もっと詳しく調べてみると、広島県が行っている「インバウンド対策」が、今注目を集めているということが分かりました。
インバウンド対策とは、外国人旅行者をどのように取り込み、満足感のある観光を提供できるかです。

広島県が行っているインバウンド対策の一例を紹介すると、

・多言語で広島の観光情報を発信するWebサイト「VISIT HIROSHIMA」の運営
・「cat street view」という猫目線で街を紹介するストリートビューサービスの配信
・台湾で人気の高いサイクリングに対してしまなみ海道をメインに海外にPR
・宿泊施設に対し外国人からの需要が高いツインルーム増室や高級フロアの拡充を進める
・観光目的が「モノ消費」から「コト消費」に変わり体験型や交流型の観光が注目されているためツアーや日本文化の体験教室の開催を実施
・「Visit Hiroshima Tourist Pass」という外国人専用の交通パスの導入

などが挙げられます。
このような画期的な広島県の取り組みは、多数の海外メディアから取り上げられるほど話題となっており、外国人観光客を集める要因となっているのです。

外国人に人気の広島観光スポット

うさぎ島の様子

広島には様々な観光資源がありますが、そのなかでも特に外国人が興味を示している観光スポットをインバウンド事例と併せてご紹介します。

広島平和記念資料館

広島平和記念資料館は平和記念公園内にある第二次世界大戦時の写真や遺品などを展示している資料館で、近くには原爆ドームもあります。
災害被災地、戦争跡地などを対象とした観光のことを「ダークツーリズム」と呼ばれていますが、共に平和とは何かを考えてその思いを共有するという意味を込めて「ピースツーリズム」を提唱しています。
それに伴い、英語にも対応した特設サイトも開設されており、平和関連施設をめぐるおすすめのルート情報の掲載や原爆ドームなど特定の場所を360度パノラマ映像で見られます。

宮島(厳島)

広島湾の海上に大鳥居が立つ「厳島神社」で有名な地です。
世界遺産にも登録されていることから、多くの外国人観光客が訪れています。
インバウンド対策として、多言語に対応したサイトの開設や12カ国の通貨に対応した自動外貨両替機が設置されています。

大久野島

瀬戸内海に浮かぶ島で、多くの野生のうさぎが生息していることから「うさぎ島」とも呼ばれています。
この島に訪れた外国人が動画サイトに投稿したことで一気に知名度が上がり、平成29年には過去最多の36万人の観光客が訪れました。
また、大久野島は戦時中に毒ガス工場があったことから、うさぎ目的以外で平和学習として訪れている観光客も多くいます。
島にある施設では、外国の人とコミュニケーションがとれるよう、英語表記のメニューを用意して指差しで意思疎通ができるようにしたり、宿泊先を海外からでも予約できるよう「アゴダ」や「エクスペディア」などのサイトに登録したりしています。

インバウンド市場の課題

外国人観光客

2020年のオリンピックに向けて、日本ではインバウンドビジネスが盛んに行われています。
オリンピックが終わればインバウンドが減少していくという事も無く、むしろ緩やかに増加する傾向です。
今後は、多言語対策・リピーター対策・地方都市への旅行者増員が課題となってくるでしょう。