不正受給はNO~持続化給付金を巡る犯罪に注意

新型コロナウイルスの感染拡大を受け政府は「持続化給付金」と呼ばれる給付金制度を新たに設置しました。簡易かつスピーディーに受給できる点が裏目となり、不正受給が横行しているのが現状です。誤って受給してしまった場合はすぐに返還しましょう。

増える持続化給付金の不正受給

持続化給付金不正受給の注意喚起

持続化給付金とは、新型コロナウイルス感染拡大を受けて売上が減少する事業者を支援するために設けられた給付金です。
最大で個人事業主100万円・法人200万円を受け取れる上に給付要件が緩く、おまけに使途が自由ということで、売上が落ち込んだ事業者にとって大変魅力的な制度と言えます。
しかし、今この持続化給付金の「不正受給」が大きな社会問題となっています。
西日本エリアからも多数の逮捕者が出ておりますが、一体なぜ不正受給が相次いだのでしょうか。
制度の問題点をはじめ、不正受給の手口について分かりやすく解説いたします。

不正受給の手口

持続化給付金は、売上見込みが前年比50%以下になれば申請することが可能です。
(※詳しい受給要件等についてはこちらの記事をご確認ください。)
つまり、例えば前年度の売上が1,000万円だった場合、今年度の売上(見込みを含む)が500万円未満であれば要件を満たすことになります。
なお、申請者で「基準月」を設け、単純に12掛けをした金額を見込み売上として算出してくれますので、一度でも40万円程度に落ち込んだ月があれば要件をクリアできる計算です。(40×12か月=480万円となり500万円未満となるため)

修正申告で売上の虚偽形成

上記の要件を満たすためには、まず売上の虚偽申請をせねばなりません。
持続化給付金の概要が発表されたのは2020年4月13日であり、申請受付は同年5月1日から始まりました。
本来、個人事業主の確定申告は3月15日で締め切りですが、3月時点で感染拡大をしていた背景を受け、締め切りが大きく延長されています。(当初は4月16日まで延長。その後4月17日以降も延長)
つまり、持続化給付金の制度が発表された以降にも令和元年分(前年分)の確定申告が可能であり、実際には事業をしていなかったにも関わらず前年から事業をしていたことにして架空の収入を申告します。
あとは、今年度に入って売上が下がったように見せかけるだけで完了です。

逃げ切るのは困難?

持続化給付金はスピーディーな対応を求められていた背景があり、対象怪しくても規準を満たしていた申請者に対しては給付金が支払われていました。
しかしながら、明らかな虚偽であるため、少し調べれば不正受給であることは確実にバレてしまいます。
なお、持続化給付金の不正受給者は、大半が以下2つの条件に該当しています。

本来の申告期間内(3月15日以前)に確定申告をしていない
令和元年度に開業している

これだけでも、不正受給の可能性がある申告者をかなり絞り込めます。
不正受給によって多数の逮捕者が現れてからは、逃げ切れないと感じてか自主返納する事例が全国で相次ぐようになりました。

指南役が付いているケースがほとんど

持続化給付金の不正受給者は大学生や主婦がほとんどです。
いずれも経営に関しては素人であり、大半のケースで確定申告のやり方等を指示する「指南役」がバックについています。(中には名義だけを貸し、資料作成と申請を全て代行してくれるケースもあったようです。)
指南役は高額な指南料を徴収しており、100万円のうち90万円を取られ、事業所得発生による税金負担で赤字になってしまったというケースも報告されています。

不正受給の件数

持続化給付金の返還を促すポスター
2020年10月30日までの持続化給付金申請件数は約367万件、給付額は約4兆8千億円となっており、うち返還の申し出が6,028件(7億9,200万円)あった旨が経済産業省より公表されています。
もちろん返還の申し出すべてが不正受給とは断言できませんが、不正受給者の逮捕をニュースで知り、返還に至った人が大半でしょう。
多額の指南料を払っておりますので、実際は給付金額のほとんどを自身で補填して返還したものと考えられます。
逮捕者数について

持続化給付金の不正受給は、毎日のように新たな逮捕者が出るという状況が続いています。
2020年11月時点で明確な集計データは出ていませんが、指南役と申請者それぞれ100名を超える逮捕者が出ていることは間違いありません。
また、「数百件以上の不正申請に関わった」という供述が指南役から出ているため、まだまだ不正受給者の逮捕が続くものと予想されます。

どのような人が逮捕されているのか

持続化給付金の不正受給は、確定申告の要領を知っている方であれば比較的簡単にできてしまいます。
そのため、特殊詐欺などを行う反社会勢力をはじめ、社会的地位が高いとされている職業の人物まで逮捕されています。
具体的には、暴力団組員・会社役員・飲食店従業員・国立印刷局職員・大学生・キャバクラ経営者・沖縄タイムス社員等の逮捕が確認されており、指南役として国税局OBの元税理士も摘発されました。
特に大学生の間では友人・知人を通じて連鎖的に広がるケースが多いそうで、「友人もやっているから平気だろう」と軽い気持ちで手を出して後悔している方がほとんどのようです。

不正受給が広がった背景

持続化給付金の不正受給は簡単にできてしまいますが、その一方で「細かく調べられたら確実にバレる」という特性があります。
冷静に考えられる方であれば、逮捕者続出の報道が出る前の段階でリスクの高さを認識できたでしょう。
こうした中で学生から公務員まで多くの逮捕者が出ているのは、インターネットやSNSで手軽に募集できたという背景があります。
周りに仲間がいなくてもSNSを活用すれば指南役に回ることができますし、手口を無料で解説するネット情報も出回っているのが現状です。
友人・知人を通じて誘われた人は、身近な人間がやっていることで安心感を得られたことが大きいのではないでしょうか。

不正受給は絶対にNO!冷静な判断を
指でバツを作るサラリーマン

資金難に陥った場合や、簡単に儲かる怪しい話が舞い込んでくると人は冷静な判断ができなくなってしまいます。
国立印刷局職員や国税局OBからも逮捕者が出ている点を鑑みても、社会的地位が高ければ犯罪・詐欺とは無縁という訳ではありません。
西日本エリアで長く事業を営んでいる方の中には「名義を貸すだけ」「誰でもお金を貰える」「借入できなくても低コストで資金調達できる」といった甘い話が舞い込んでくるかもしれませんが、絶対に拘わらないようにしてください。
資金難に陥った際はファクタリングなど相応のコストがかかる方法を選択肢に入れ、金銭的に苦しい状況だからこそ冷静かつ慎重な判断をすることが大切です。
もしも誤って受給された方がいらっしゃいましたら、速やかに返還手続きを行うようにしてください。

【参考サイト】 経済産業省「持続化給付金の返還について」
https://www.meti.go.jp/covid-19/jizokuka-henkan.html