トラブル事例をcheck!悪質ファクタリング業者の手口と被害

レセプト債は安全性の高い債権と言われておりますが、証券会社が倒産する等、購入側にも一定のリスクがあるようです。ファクタリングに纏わるトラブルや被害事例、悪質業者の手口等についてご紹介します。

ファクタリングに纏わるトラブル

明確な監督官庁が存在しないファクタリング事業

ファクタリング事業は許可制ではないため「監督庁」が存在しません。
そのため、悪質なファクタリング会社はやりたい放題であり、被害に遭う方や会社が多いと言うのも事実です。
ファクタリングに纏わるトラブルの事例や被害例等についてご紹介します。

保証人を要求された

ファクタリング保証契約書と印鑑

ファクタリング会社を騙る、ヤミ金業者の手口です。
債券を担保にお金を貸すABL方式(債権担保融資)は金融業の許可が必要であり、一般的なファクタリング会社では当該方式を用いる事はほとんどありません。
保証人を求められたという事は、実際は貸金契約を締結又は締結しようとしている可能性が高いため、すぐに取引を中止するようにしましょう。

条件が違う

手数料1%!99%で買取!等と謳いながら、実際に契約する時は債権額の70%や80%にまで買取条件を落とすという被害が多数確認されています。
資金繰りに悩む会社は、例え不利な条件であっても飲まざるを得ない程追い込まれており、ファクタリング会社に言われるがまま契約を結んでしまう恐れがあります。
緊急時に手を差し伸べるふりをして奈落の底へ突き落すという卑劣な手口です。

金利を要求された

悪質業者に伝えられる間違った情報と要求される金銭

債権売却で得たお金は、基本的に一括で振り込まれ、取引先からの入金があり次第、その金銭をファクタリング会社へとそのまま引き渡します。(2社間ファクタリング)
しかし、この際に金利を付すという「手数料と金利の二重取り」を行うファクタリング会社の存在が確認されており、トラブルとなるケースがあります。
これは貸金業法に違反する行為であり、非常に悪質です。

不明瞭な手数料

債権譲渡の通知又は承諾を行わない2社間ファクタリングでは、これらを行わない代わりに「債権譲渡登記」という手続きを経るのが原則です。
登記はファクタリング会社側の利益を守る手続きのため、行われなくとも利用者の不利益になる事は無いのですが、この際に「司法書士手数料」と称し、多額の登記費用を請求するケースがあります。
登記手数料があまりにも高額だと感じたら、すぐさま説明を求めるようにし、納得のいく回答が得られない場合には取引を中止しましょう。

レセプト債の売買でトラブルも

医療業界でも行われるファクタリング

日本では、診療費用の一部を国や組合が負担するシステムを採っています。
そのため、クリニックや病院での診療費・介護事業等で得る報酬は、一部を患者から受取り、残りを国や地方公共団体・組合等に対して請求します。
これを診療報酬債権(レセプト債)と言い、国等が債務者となるため、最も安全性の高い債権であり一部の投資家では利息目的で大量に保有している投資家もいる程です。
なお、診療報酬債権(レセプト債)を利用したファクタリングを、一般的に『医療ファクタリング』と言います。

医療業でファクタリングが人気の理由

レセプト債は“回収不能のリスクが無く非常に安全性の高い債権”と言う点につきましては前述した通りですが、請求から支払までに2~3か月を要するため、流動性が低いという難点がありました。
そのため、新たに開業したクリニックや経営難の病院等の「現金をすぐに必要とするケース」では、当該債権をファクタリング会社へ売却し、現金化するという手法は一般的に用いられている資金調達方法なのです。

レセプト債の取引で逮捕者

レセプト債取引で逮捕者も!

診療報酬債権を証券化し、販売を行っていた証券会社「アーツ証券」の元社長らが、平成29年2月、金融商品取引法違反(偽計)などの容疑で千葉地検に逮捕されました。
同社はレセプト債の安全性をアピールし、年間4%の利息を確実に受け取れるという触れ込みで投資を募り、227億円ものレセプト債証券を発行しておりましたが、実際に医療機関から診療報酬債権を買取り、運用していたのは23億円に留まっており、平成28年に破産を申請。
証券取引等監視委員会は一連の流れを、意図的に債務超過を隠した証券取引と判断し、同社を金融商品取引法違反で刑事告発し、翌年逮捕に至りました。

売却する側のリスク

医療ファクタリングを行うクリニックや病院側にはリスクは無いのでしょうか。
繰り返しになってしまいますが、レセプト債は非常に安全性が高い債権であるため、買取手数料が非常に安く、また、相手が国や地方公共団体である事から取引先に知られて経営難に陥るというリスクも無く、より手数料の低い3社間ファクタリングが利用出来るのが特徴です。
したがって、債権を売却する側であるクリニックや病院へのデメリットは“何もない”と言っても過言ではなく、悪質なファクタリング会社に債権を騙し取られてしまう等の特殊なケースでない限り、危険性はありません。
額面満額とはいかないまでも、ほぼそれに近い金額での買取が見込めるので、債権者側(医療機関)及びファクタリング会社双方がリスク・デメリットが少ないのです。