どのようなシーンでおすすめ?ファクタリング×IT業

個人事業主や小規模法人が多い「IT業」。市場規模が拡大する一方で、企業数については大きな成長は見られずほぼ横ばいの状況です。同業種の資金調達にファクタリングがマッチする理由について解説します。

IT業×ファクタリング

IT企業で働く女性

ホームページ・WEBサイトのデザイン構築やコーディング、プログラミングによるシステム作成、各種インターネットサービスの保守や点検など、IT業は今やなくてはならないビジネスです。

当ページでは、IT業と呼ばれるビジネスがどのような事業なのか、同事業の基本概要、市場規模や企業数の推移など、様々な点にフォーカスを当ててみたいと思います。

情報通信業を営む企業の概要

総務省が毎年実施している「情報通信業基本調査」によると、2010年から2020年の10年間で、情報通信業関連の企業数・売上高・従業員数は以下の通り変化しています。

2010年 2013年 2016年 2020年
売上高(億円) 500,828 671,076 719,513 703,384
企業数 4,977 5,496 5,474 5,714
従業員数(人) 1,233,334 1,502,046 1,624,851 1,651,373

上記は電気通信業をはじめ、民間放送業やソフトウェア開発業、情報処理や提供サービス、インターネット付随サービス業、広告代理業等を営む企業のアンケート回答を合計した数字です。
2013年頃からはほぼ横ばいの数字が続いておりますが、2010年に比べると売上高は1.4倍以上増加していることが分かります。

2009年以前の正式なデータはありません(情報通信業基本調査は2010年に開始されたもの)が、インターネットが普及し始めた2000年に比べて売上・事業数は10倍以上に増えていると考える専門家もいます。
今やIT業は日本経済を支える屋台骨であり、人々が生活する上で無くてはならない存在と言っても過言ではないのです。

働き方が大きく変化

新型コロナウイルスの感染拡大によって「人々の働き方」は大きく変化しました。
中でもIT業は、変化が顕著に現れたビジネスの1つと言えるのではないでしょうか。
IT業はPCでの作業が多く、自宅でも行える業務が多いため、他のビジネスに先駆けてリモートワークを導入するなど、コロナウイルスの感染拡大を防ぎました。

また、リモートワークの推進だけではなく、フリーランスへ転身する人の増加・アウトソーシングの動きが活発化するなど、新型コロナウイルスは多くの面で影響を与えたと考えます。

失敗も多いビジネス

焦る男性技術者

先程ご紹介した「情報通信業基本調査」を見てみますと、業界全体の売上高は増加しているのに対し、IT業を営む企業数自体はさほど増えていないことが分かります。
増加が緩やかな主な要因としては「小規模事業者の倒産」「個人事業主への転身」などが考えられます。

IT業はノウハウさえあればスタートできるビジネスのため、大手企業で経験を積んだ人が単身乃至は数人で独立開業するケースが非常に多いです。
開業したのは良いものの、仕事が取れずわずか数年で古巣の企業に戻る…なんてことも決して珍しくはありません。

業界は現在飽和状態

新型コロナウイルスの感染拡大によって失業・減給が相次ぎ、自宅でできる仕事の需要が一気に高まりました。
失業がきっかけでフリーランスに転身した技術者も多く、クラウドワークスやランサーズなどの「クラウドソーシングサービス」はまさに群雄割拠と言えます。

供給者である依頼者側から見ると単価が下がる・仕事のクオリティが上がるなど良いことづくしですが、依頼を受ける側にとっては競争相手が多い点はマイナスでしかありません。
家事の合間に月20万円以上を稼ぐ主婦・主夫もいるようですが、よほどのスキル・営業能力が無い限り、現在の状況で稼ぐのは容易なことではないでしょう。

資金調達手段が少ない

前述した通り、IT業はノウハウさえあれば開業できるビジネスですので、資本金が極めて少ない小規模事業者や個人事業主として活動する方が多く見られます。
自宅開業かつスタッフを抱えないのであれば固定費を抑えることができますが、一定規模を有する企業の場合、コロナ禍のようなトラブルに見舞われるとひとたまりもありません。

もちろん小規模企業であっても資金調達自体は可能ですが、銀行融資やビジネスローンは直近の売上や成長性を重要視するため、赤字状態になると一気に審査に通りづらくなってしまいます。

さらに、銀行や消費者金融は「運転資金」に対する融資には消極的であり、設備投資や仕入れなど、使途を工夫しなければならないというデメリットもあります。
フリーローンやクレジットカードのキャッシング機能など、必然的に金利の高い方法になってしまう点に注意が必要です。

IT業でファクタリングが人気の理由

パソコンの前で笑顔を見せるビジネスパーソン

福岡や大阪をはじめとした西日本の多くのエリアで活動するIT企業。
コストがさほど掛からないビジネスと言われておりますが、商売道具であるPC・備品の故障、業務に必要なソフトの導入・アップデートなど、予期せぬ形で支出が発生する可能は十分に考えられます。
建設業や運送業等の企業の利用割合が多かったファクタリングですが、最近ではIT業を営む企業の間でも浸透しはじめているのをご存じでしょうか。
ファクタリングによる資金調達が人気の理由として、以下が挙げられます。

入金までのスパンが長い

ファクタリングによる資金調達は「仕入等の運営コストの高い職種」「売掛サイトが長い又は不安定」等で特に有効です。そのため、完成しないと代金が受領できない“請負契約”や、期間が不安定な“業務委託契約”では高いパフォーマンスを発揮します。
冒頭でもお伝えした通り、従来は建設業・運送業にこの条件がマッチしておりましたが、IT業も制作・保守・管理といった契約内容が多いことから、利用が増えてきたものと考えます。

建設業との共通点が多数

IT業は業務内容に適したスペックのパソコン・ソフトが必要になりますので、一定の「設備」は必ず必要になります。また、作業は人の手によって行いますので、完成までに「人件費」が掛かります。一方、建設業では「仕入」が主な原価になりますので、この点は大きな違いと言えるかもしれません。
しかしながら、共に売り上げを作るために必要な経費(費用)であるといえますので、資金不足ですと業績を上げられないという点は共通しています。

IT業の弱点をカバー

さらに、IT業には以下の特徴が見られます。

・アウトソーシングの拡大により外注費が拡大
・製造原価(人件費・外注費)が高額に及ぶことが多い
・バグの発生によって莫大な機会損失が発生するリスク
・口コミによる拡散効果が大きい
・ベンチャー企業が多い

“固定人件費”を制作費に当てることもできますが、昨今のアウトソーシング化により、IT業の多くは「フリーランスに外注する」という手法を採っています。
外注による製造手法は年間の人件費を抑えることができる一方で、一時的に費用が嵩んでしまうという特徴があります。
また、IT業は依頼の内容によっては数か月~数年の作業時間を要することがあります。
そのため、運転資金の確保のため又はショートを避けるために、納品済みで入金待ち(請求済の売掛金)の債権をファクタリングに回すことが多くなっているのです。

セーフティーネットとしての活用

納期に追われるプログラマー

IT業と一言で申し上げても、納依頼の内容は千差万別です。
難しいプログラミング作業になると一つのバクをキッカケに検証や幅広い項目での修正が必要になることも決して珍しくありません。
また、IT業は納期を守らないと信用を失ってしまうことがありますので、納人件費はどうしても高額に及ばざるを得ません。

さらに、ソフトやシステム開発は「バグ」や「誤作動」が起こりやすいため、予定通りにいえば利益が出る仕事であっても、これらトラブルによって人件費がさらにかさんでしまう恐れもあります。
したがって、納急な出費に対応するために、即日で現金が得られるファクタリングが好まれる傾向にあるようです。

脱サラして参入する方が多い

前述したとおり、IT業はスキルとパソコン、ネット環境さえあればどこでも仕事が可能です。そのため、ある程度の経験・能力が培われると、元々ビジネスパーソンとして活躍していたエンジニアやデザイナーが脱サラしてフリーランスになる傾向がみられます。
なお、「対個人事業主」というだけで金融機関の審査は非常に厳しくなってしまい、事業資金を調達するのは容易ではありません。ファクタリングの場合、あくまでも“債権の価値”が重要ですので、このような弊害が生まれないというメリットがあります。

成長を続けるIT業界

IT業界が世界規模で成長をしているイメージ画像

2000年を過ぎたあたりからインターネットが急速に拡大し、ネットビジネスやIT業界は現在も大きな成長を続けています。
開発・営業を問わず人脈さえがあれば簡単に独立できる業界とも考えられており、実際に10~20代で起業する若者も多いです。
しかし、一方でパソコン・ソフト・オフィス等の「設備投資」、求人・営業広告などの「事業投資」、人件費等の「運転資金」など、事業資金は多く要します。
設立1年目など実績のないベンチャー企業は銀行融資やビジネスローンを利用するのが困難であり、審査が不要なファクタリングは今後も利用が拡大することが予想されます。

ご利用の際はしっかりと計画を立てましょう

ファクタリングには「少額利用が可能」「個人事業主でもOK」「赤字や税金滞納があっても影響が無い」といったメリットがあり、IT業に強くマッチする資金調達方法です。

一方で、利用の都度ファクタリング手数料を支払わねばなりませんので、反復継続した利用は逆に財務状況を悪化させてしまう恐れがあります。
慢性的な利用は避け、いざという時にのみ利用する・一回あたりの利用額を抑える等、しっかりと計画を立てた上で利用するようにしてください。