何故危険視されるのか|慢性的なファクタリングがNGである理由
大手は反復利用ができない?

債権譲渡・手形割引など、債権を用いた資金調達は古くから用いられてきました。
今や企業にとって欠かせない資金調達手段の一つである「ファクタリング」ですが、一部ファクタリング会社では同取引を断るケースがあります。
例えばファクタリングの「反復利用」については一部ファクタリング会社で禁止する動きも見られ、一定の条件下で利用出来ない恐れがある点に注意せねばなりません。
当ページでは反復利用の危険性をはじめ、ファクタリング会社が抱えるリスク・断る理由等について触れていきたいと思います。
なぜ反復利用が危険なのか

まずはファクタリングのシステムからおさらいしていきましょう。
ファクタリングは自社が保有する売掛金(又は未収金)をファクタリング会社に売却し、売却代金をキャッシュフローに充当させるという資金調達です。
ファクタリング会社側は「支払いが履行されないかもしれない」というリスクを負いますので、当然ですが額面通りに買い取る訳にはいきません。
具体的には、額面に対し5~20%ほどの金額を差し引いた上で支払われるのが一般的で、差額が手数料としてファクタリング会社の利益となります。
つまり、ファクタリングは“本来貰えるはずであった金額を減らす代わりに早期にキャッシュを受け取れる”という取引であり、慢性的な利用は資産の更なる減少を招く可能性があります。
ファクタリングは「薬」のようなもの
早ければ当日の内にキャッシュが入ることもあり、ファクタリングは非常に即効性のある資金調達方法と言えます。
しかしながら、前述した通りファクタリングは「資産(売掛金や未収金)を減少させてしまう行為」でもあり、反復継続した利用は危険です。
言わばファクタリングは薬のようなものであり、常用すると中毒症状を引き起こしてしまったり、逆に身体を壊してしまったりといったデメリットを引き起こします。
支払いサイクルを整えるため・トラブルによって入金が遅れた際のつなぎ資金など、一時的な利用に留めるようにしましょう。
ファクタリング会社が抱えるリスク
例えば、100万円の債権を毎月80万円で売却したとします。
期日通りに入金を受けた場合に比べて20万円の損失が発生することになり、これが仮に1年間続いたとすると、単純計算で合計240万円もの費用をファクタリング会社へ支払うことになります。
手数料がより多く貰えるため、一見するとファクタリング会社側にデメリットは無さそうにも見えますが、それは大きな間違いです。
2社間ファクタリング形式で取引を行う場合、利用会社側が債権を回収する⇒ファクタリング側に受け取った金銭を引き渡すという流れを採ります。

したがって、売掛金を持ち逃げされてしまう(売掛金を引き渡さない)というリスクをファクタリング会社側は抱えていることになります。 経営難であればあるほどそのリスクは高まりますので、反復利用を断ることで利用企業の財務状況の悪化をできるだけ避けるという狙いがあるのです。
長期対応可のファクタリング会社も
もちろん、全てのファクタリング会社が継続利用を断っている訳ではありません。
例えば、福岡や大阪等で活動する“地域密着型ファクタリング会社”では、複数回の利用(3~6か月)を視野に入れた上でファクタリング契約を結ぶことがあります。
この場合、仮に毎回同じ条件でファクタリングをしてしまうといつまで経っても資金難が解決しませんので、以下のようなスケジュールを提案します。
- スケジュールの例
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1か月目…額面1000万円の債権を900万円で買取(手数料100万円)
2か月目…額面800万円の債権を720万円で買取(手数料80万円)
3か月目…額面600万円の債権を540万円で買取(手数料60万円)
4か月目…額面400万円の債権を360万円で買取(手数料40万円)
5か月目…額面200万円の債権を180万円で買取(手数料20万円)
6か月目…額面100万円の債権を90万円で買取(手数料10万円)
一度で資金難を解消するのではなく「少しずつ手数料を減らし、無理なくキャッシュフローを解決していこう」という算段です。
もしも他ファクタリング会社で反復利用を断られてしまった場合、このようなプランを組んでみるのも一つの手ではないでしょうか。